キューピーの音楽評論(仮)

星野源のファンブログ

星野源の描く、理想の夫婦像

星野源の、通称‘’老人三部作‘’と呼ばれる曲をご存知だろうか?
老人と言うより、‘’老夫婦‘’を描いた曲です。
この3部作から、星野源の描いた理想の夫婦像と価値観がわかります。

星野源1stアルバム『ばかのうた』に収録されています。
ささいな日常を描いた、短編集を読むように楽しめるアルバムです。

老人三部作 その①『グー』

とある老人夫婦の日常を描いています。
“グー”とは、寝ている時の擬音ですね。
日常の生活を、大事に過ごしている1曲です。
お爺さんの視点から描かれる生活の1コマ。
お婆さんの寝起きの顔は“ぶちゃむくれ“ています。
“ぶちゃいく(不細工)“+“むくんでいる“という造語を使っていますが、可愛らしい印象ですね。
お爺さんのお婆さんに対する愛情を感じます。
よそ行きの恰好よりも、日常の素の顔が好きだと思っているお爺さんに癒されます。
しわのある口が開いていても、ヨダレを垂らしていても愛おしいと思ってもらえるなんて
女性からしたら嬉しいことです。

グーグーグー・・・と、リズミカルで気持ちいい語感が印象的な曲です。

しかし、物語の途中でお爺さんは倒れて、入院してしまいます。
その時でも、病院での手厚い看護を受けるより、家の布団でお婆さんの隣で眠りたいと願います。

最期は家に戻り、見慣れた天井や二人の布団が狭いことも嬉しいようです。
お爺さんは、お婆さんの寝起きの顔はもう見れないだろうと悟りながら、お婆さんの懐で眠りにつきます。
とても幸せな最期です。

私はこの曲を聞くと、病気を悪化させても頑なに入院しなかった父を思い出します。
遺される者としては長生きして欲しかった。
けれど、本人はそれで幸せだったのかもしれません。

老人三部作 その②『茶碗』

‘’茶碗‘’で、夫婦の長い年月を歌うこの曲。
柔らかく優しい歌声で歌い、ハンドクラップが心地よい1曲。

生活の基本。“毎日、食べる。“
その日々の積み重ねを、‘’茶碗‘’で表現しているこの曲。
あなたは、その茶碗を何年使い続けていますか?
この曲の名脇役とも言える茶碗は、20年使い続けた為にふちが剥げ、底も少し割れている。
ずっと夫婦の生活を支えてきた茶碗です。
過去から日々を繋いで生きていく様子が、茶碗で現わされています。
年季と味わいのある茶碗が想像できます。

そして面白いのが、茶碗の‘’剥げ‘’が、2番で髪の毛の‘’禿げ‘’に変わります。
茶碗が消耗し剥げていくように、夫婦も禿げて河童のようになっている。
例えが愉快だし、同じように年を重ねて過ごした証の禿げは素敵だなあと感じます。
お爺さんが、お婆さんの長い長い髪を梳いてあげる姿がまたいい。
サザエさんに登場するおフネさんみたいに、髪が長くてダンゴにしている姿をイメージしました。
古風なお婆ちゃん像です。
曲がった櫛も、大事に使い続けているのが素敵。

そういえば……星野源のライブ‘’YELLOW VOYAGE‘’(2016年)のグッズ。
‘’BANANA TOWEL‘’なる黄色いタオルがありました。
「死ぬ間際に、このタオルが側にあったら面白い」
ということを、星野源さんが言っていたのを思い出しました。
ヨボヨボになって瀕死の時に、真っ黄色でもないボロボロのこのタオルを持っている。
滑稽だけど素敵だと思いました。そのイメージと繋がります。

老人三部作 その③『老夫婦』

アコースティックギターの音色で、静かに始まるこの曲。

お婆さんが先に逝きます。
お爺さんは、お婆さんの好きだった場所を歩く、ただ、それだけの曲。
「ららら……ららら……」と歌う中に、全てが集約されます。
他に言葉で表現できないのだと思います。
何も考えてないとも言えるし、考え出すときりがないほどの思いがあるはずです。
長年連れ添った夫婦ですから。

‘’おじいちゃん‘’があだ名だった星野源

経験してきたかのように、老夫婦の歌を歌う星野源。
昔から老成していたのか‘’おじいちゃん‘’というあだ名だったようです。
‘’チューボーですよ‘’(2015.10.24放送)にゲスト出演していた際にも、ネタにしていました。
鬼ごっこしてる時に‘’おじいちゃん‘’の振りで回避する星野源がいました。

そういう私も‘’おばあちゃん‘’というあだ名でした。
同じような人も、この曲に共感できるのではないでしょうか?

‘’老人3部作‘’を通して、日々の生活をありのままに愛している。
ワードセンスでは‘’ぶちゃむくれている‘’の言葉。
‘’禿げ‘’とか、歌詞としては選ばないような言葉も入れるところに‘’日常‘’を歌ってるのだと感じます。

愛を歌う時、神格化したような歌詞だと嘘っぽくなる。
そのキラキラが良いという人もいるだろう。
格好つけてない言葉を使う方がより生々しい。

しかし、それはより高度な理想主義とも言える。
‘’特別な日‘’よりも、‘’日常‘’の方が圧倒的に多い。
その日常の中に愛情を持ち続ける方が、絶対的に難しい。そう、私は思うからです。
‘’こんな夫婦になりたいな‘’と思わせられるのです。

『ばかのうた』は、名曲がたくさんあります。
全曲を通して、演奏も歌声も優しい雰囲気に包まれています。
またご紹介していきますが、是非チェックしてみてください。

星野源『ばかのうた』をつくるpart1/4

星野源『ばかのうた』をつくるpart2/4

星野源『ばかのうた』をつくるpart3/4

星野源『ばかのうた』をつくるpart4/4


星野源がグレた!?『Pop Virus』【MV】の世界観

2019年12月12日。

3年振りの星野源 NEWアルバム『POP VIRUS』(ポップ ウイルス)の表題曲、『Pop Virus』のMVが解禁されました。

舞台イメージは、ニューヨークの地下鉄の車内。(理由は、後述します。)

車内の壁などにはたくさんの落書きがされていて、外国人の乗客の中にサングラスをした悪ぶった星野源が紛れています。

近年発表されたシングル『恋』『ドラえもん』『FamilySong』などの可愛らしく明るい星野源さんのイメージとはほど遠いもの。

ダウナーでカッコイイ星野源さんがいます。

ここで驚かされた人は多いと思います。

しかし、元々こういった心の暗い側面があったことは確かです。

星野源さんが思春期の頃には、不登校だった時期もありますし。

最近でも塞ぎこんでいた時期があり、『ダ・ヴィンチ』に掲載されたエッセイで本人から語られました。

nanimonodemonai-musume.hatenablog.com

心の闇を投影したような薄暗く荒れた車内に、音楽が流れます。

イヤホンをした女性は音に合わせて軽く体を揺らし、ヘッドホンをした男性はビートを刻みます。

これは一見エアドラムのようにも見えますが、MPCという楽器を演奏しています。

MPCプレイヤーは、星野源『アイデア』にも参加しているスタッツさん。

そのビートは、不規則に刻む心臓の鼓動のように、一拍ずつドクンと鳴ります。

窓の外から差し込む光は、まるで音に合わせて光っているようです。

心が陰るように、アナログシンセサイザーのザー・・・というノイズが響き、青や赤のネオンの光りが差し込みます。

アルバム『POP VIRUS』のジャケットになっている心臓の花が咲いた植木鉢は突如割られ、不穏さが増します。

サビから始まっているこの曲ですが、王道のJ-POPらしく派手に盛り上がるサビではありません。

ゆったりと落ち着いたテンポなのに心はざわつき、静かに体が揺れます。

そして、乗客たちは自由にバスケットボールのパスをしたり、友人とおしゃべりをしたり。

それぞれ自然に過ごしている動きが少しずつ音に重なり、やがて一つの大きなグルーブへと変わる。

気付けば、車内のみんなは好き勝手に踊りまくっている。

小さな音から、徐々に音楽というVirus(ウイルス)が感染していく様を見せられます。

不穏だと思った車内は、いつしか幸せな空間へと変わっていました。

このMVは、たったの3分程度。

その間に、ショートドラマが繰り広げられます。

そして、MVのラストは、実際は静かな車内で誰も踊ったりしていない。

ただ、普通に乗車しているだけという妄想オチでした。

星野源的ニューヨークと、フラッシュモブ

星野源さんは、ニューヨークへの強い憧れがあります。

過去に、次の新曲は『ニューヨーク』です。と、うそぶいていたこともありました。

前アルバムの『YELLOW DANCER』のブックレットには、ニューヨーク旅行(妄想)の話をしていたこともありました。

手元にある方は、是非読み返してください。

ニューヨークの地下鉄、落書き、フラッシュモブなどの共通点が見つかります。

その妄想の世界が、『Pop Virus』のMVだと思います。

そして、日本人的フラッシュモブというと、偏見かもしれませんがサプライズプロポーズなどのイメージがあります。

あざといと言いますか・・、事前に段取りをキッチリして、振り付けを準備して、一生懸命みんなで練習して、みたいに必死な感じがします。

冷静なタイプの人間や、非リア充は所業に引いてしまうと思います。

それに比べ、海外のフラッシュモブは異なると感じます。

去年、星野源さんが好きだと言っていたユーチューバーに、トドリック・ホールさんという方がいます。

フラッシュ・モブの動画があり、好きで見ているとのことでした。

例えば、マクドナルドで友人と注文しに行き、注文ついでに歌って踊っちゃうのが楽しい動画など。

見て頂ければ、わかるかと思います。

歌うと言っても、元は注文するだけの言葉。

踊ると言っても、自然と音の波に乗って体が揺れるということ。

一人でも素晴らしい歌唱力なので楽しめるとは思いますが、友人の体も自然に動かし、共に歌い、ただ働いているだけの店員さんを笑顔にする。

こうゆう日常の中に音楽が生まれ、感染していくことが、フラッシュモブの醍醐味なのだと感じます。

この注文シリーズは、回を追うごとにトドリックさんの音楽とエンタメに感染された仲間が増えていきます。

星野源さんがイメージするフラッシュモブは、こういう日常の中にある音楽の感染。

しかし、トドリックさんの動画のように始めからハッピーな様子ではない、星野源『Pop Virus』のMV。

『POP VIRUS』のコンセプトには陰のイメージもあることから、不穏な要素も盛り込まれているのではないでしょうか。

星野源が影響を受けたミュージカル

アメリカ的フラッシュモブと、ミュージカルにも共通点があると思います。

日常×音楽×ダンスという点では同じです。

異なることは、フラッシュモブは実生活の街中に存在する1コマ。

ミュージカルは映画などの架空世界で演じられること。

日本では、近年でしたら映画『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』が流行り、ファンが増えたとは思います。

王道では、ディスニー映画もそうですね。

しかし、昔にもミュージカルの名作映画は存在しました。

星野源さんも好きだと公言している、映画『ブルース・ブラザース』(1980年)です。

本作品には世界的アーティストが大勢出演されていて、豪華なキャスティングでした。

前述のミュージカルと印象が異なる点は、主人公兄弟は悪さばかりしてきた裏社会の人間だということ。

二人とも黒スーツで、サングラス着用。何も知らない人は、ジャケットを見ればマフィアの怖い話だと勘違いするかもしれません。

ミュージカルは、キラキラしたドラマチックストーリーに使用するという固定概念が打ち砕かれる映画です。

元々がクズな兄弟ですが、最低な状況でも歌うし、踊るし、とてつもなくカッコイイのである。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)でもショーがあったのですが、残念ながら2009年12月31日に終了してしまいました。

見たことがない方には、是非一度見て頂きたい名作です。

Amazonprimevideo

心に、生きることに、花を咲かせよう。

口から音が出る病気 心臓から花が咲くように

星野源『Pop Virus』作詞・作曲/星野源 より引用

歌うということは、心臓が脈うち生きることに花を咲かせるようだ。と、言っている気がしました。

病気というのは、人に感染していくウイルスのようだという意味で使っているのでしょう。

感染した者も、歌ってしまう病気になります。

MVのフラッシュモブのようにです。

そうすることで、みんなは心に、生きることに花を咲かせていけるのでしょう。

だからこそ、今日も星野源は歌を届けてくれるのだと思います。

最後に、こちらが撮影に参加された外国人の方たちとの記念撮影です。
とても楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。


※これは、あくまで私個人の見解です。
 今後発売される雑誌の本人インタビューや、ラジオ放送などで解釈の間違いが判明する可能性があります。ご了承ください。

ドラマ『おっさんずラブ』のRevival(蘇らせ)だお★

2018年、おっさん同士の熱き恋愛ドラマが爆誕しました。

2018年新語・流行語大賞トップ10入りも果たした、大ヒットドラマです。

まだ見てない人でも、間に合う!

共に『おっさんずラブ』の世界に浸ろうではありませんか。

おっさんずラブって何!?

元は、2016年12月31日(30日深夜)にテレビ朝日系『年の瀬 変愛ドラマ第3夜』として、単発放送されたテレビドラマ。

それが、2017年4月~6月に、全7話のテレビドラマとして新たに放送されました。

こちらの連続ドラマは、初回放送から話題になりました。

当時の特別予告編はこちら。

今はAmazonプライムビデオでの視聴が可能なので、私はこちらで見ました。

Amazon Prime Video無料体験の新規登録はこちら

初めから通しで見たいですもんね。

本編の始めの方は『やたらと真剣に恋愛しているおっさんって滑稽だなあ。』と笑って見ていました。

少女漫画のおっさん版パロディ・コントのような感じです。

これが、だんだんと本物のピュアな王道恋愛ドラマとして消化されていくことに驚きます。

最終的には涙するほど感動し、ハマりました。

少女漫画や、ラブコメディが好きな人はもちろん楽しめます。

そうでなくとも、普段恋愛ものを見ない人やBLが苦手な人も、きっと楽しめるでしょう。

この機会に、是非見てみてください。

【ネタバレ注意:本編について】

※ここから主要なキャラクター紹介&ドラマの内容になります。 

天空不動産で勤務する、主人公の春田(田中圭

生活力がなく、いい歳して実家暮らし&だらしがない&優柔不断なタイプ。

女性にはモテないが、自他共に認めるお人好しで、お客様にも信頼される。

屈託のない笑顔が魅力的。愛されキャラ。

これが、“ダメ人間なのに、何故か急にモテ始める王道パターン“になるのですが、モテる相手がことごとく男性だった・・・。

典型的な“巻き込まれ型“の主人公です。


第一の男:黒澤部長(吉田鋼太郎

これが、渋めのカッコイイ頼れる上司なのである。

しかし、部長が春田の写真を隠し撮り(しかも膨大な量)していたことが、本人にバレてしまう。

これをきっかけに、積年の思いが大爆発!!

春田への猛烈なアプローチが始まるのである。

そして、春田の前では乙女化する黒澤部長が面白い&可愛い。

春田を“はるたん“と呼び、LINEの語尾は“〇〇だお”。

女子でもなかなかいないレベルのぶりっ子なので、いい年したおっさんが気持ち悪いと思ってもいいところなのだ。

そのはずが、真剣すぎて面白い。

それどころか、回を追うごとに『なんて一途で可愛い』と思ってしまうのである。

とても献身的に情熱的に尽くす姿に、好感が持てるのである。

黒澤部長は、立派なヒロインとして機能していく。

ウィークポイントとしては、周りが見えなくなるほど暴走してしまうところ。

まさしく“恋は盲目”。

乙女でありながら、いかにもリーダー気質のぐいぐい引っ張っていくタイプでもある。

春田は元々モテたこともなく優柔不断なため、戸惑っている間にどんどん話が進んでいきます。

春田の頭の中は・・・

上司と部下の関係だから戸惑っているのか?

男性だから困っているのか?

このまま俺は彼氏になるのか?それとも彼女か?

そもそも付き合うってなんだっけ?好きってなに?

と、色々考えて頭の中がグチャグチャになっている様子は、見た目にも滑稽です。

大人になってから、真剣に恋愛そのものについて考えるという不思議さに笑えます。

そして、なんと黒澤部長は結婚されていて、夫婦仲も良好な奥様がいらっしゃることには驚きました。

黒澤部長は、“たまたま好きになったのが男性(はるたん)だった“ことがわかります。

そのことに憶することもなく、奥様とはきちんと別れてはるたんと一緒になろうとするところがカッコイイです。

【隠し撮りはるたんの様子】

武蔵の部屋【公式】Instagramでは、隠し撮りはるたんが見られて面白いです。

部長(黒澤武蔵)の、はるたんへの“好き“で溢れています。

遅ればせながら、遡って全部読んでしまいました。ハッシュタグが面白すぎです。

※良い子は他人を隠し撮りしないでね。SNSにもあげないようにしましょう。

第二の男:牧(林遣都

仕事ができる。家事ができる。綺麗な顔してる。

完璧な同僚であり、春田の家でシェアハウスすることになります。

世話女房役という感じで、だらしのない春田の面倒を見ながら、説教しつつも楽しく生活しています。

そして、牧もまた密かに春田が好きなんですね。(牧は、元々男性が恋愛対象)

設定はドS属性ということです。

確かに、春田のことが好きなわりに厳しい言葉が多いかな・・・。

クールなので、始めの方は春田を好きだという素振りはあるような?ないような?という感じです。

牧は、黒澤部長とは対照的に周囲や相手のこともよく考え、思慮深く行動します。

突発的に内なる情熱が見え隠れしたり、我慢して内に溜め込む性格のため耐えきれなくなるときがあります。

その突飛な行動や、絶妙な間、繊細な表情で魅せてくれるキャラです。

奥の深いキャラですね。

主に、この三角関係から展開していきます。

おっさんずラブの魅力は、現場のみんなで作る。

各キャラが魅力的になった要因の一つとして挙げるべき点です。

現場が、“俳優さんが役に入って演技をしているときの気持ち“を重視する方針だったということ。

話の中には、アドリブもたくさん入っているようです。

たとえば、第6話。(最終話の前話)

この時、牧と春田の二人は付き合っています。

しかし、牧がいろんな思いを限界まで溜め込んだ結果、春田に別れを切り出すシーン。

胸の奥から言葉を振り絞るように、別れを切り出します。

牧は泣いてしまうのですが、春田も牧の涙を見て泣いてしまいます。

このシーンは『ずっと流されっぱなしに見えた春田も、かなり牧を好きになっていたのだなあ。』と思えて、一層別れが悲しくなりました。

私もぼろぼろ泣いたのですが、撮影現場でも、スタッフや、監督さんたち、みんなが泣いていたそうです。

このシーン、本当は春田には泣くト書きはなかったそうです。

春田は、自然に泣いてしまったのでしょう。

こうして、役が脚本を超えて自然と動いたときに、感動が生まれるのですね。

その他の役も、個性的でキャラ立ちしていて、魅力に溢れています。

同性同士の恋愛について、どう思うか?

最近は、偏見が少なくなってきていると思います。

むしろ、性別の壁を越えて“人として惹かれあうこと“に、美徳と感動を覚える風潮があると思います。

そういう漫画などの話が、最近は増えてきたと感じます。

その風潮の波は、おっさんずラブが連れてきたのかなと思いました。

恋愛は、当人同士の自由です。

どんなことも周りは暖かく優しく受け入れるのが、おっさんずラブの世界。

そんな明るい社会になっていけば嬉しいですね。

だって、好きになってはいけない人なんて、いないでしょう?


面白いドラマでしたが、本編以外にもまだまだ楽しめる要素はあります。

DVD&Blu-ray購入者だけ楽しめるコンテンツは?

① 放送当時好評だった、ドラマの副音声(#2、#6)
  (こちらは、アマゾンプライムビデオその他でも視聴はできません。)
  
② 特典映像
 「おっさんずラブ2016」
 「クランクイン集」
 「クランクアップ集」
 「制作発表記者会見」
 「“激レア”未公開シーン集、ときどきハプニングだお★」
 「あの名シーンを別アングルでもう一度 エディターズカット版」

 (※レンタルはDVDのみ、特典映像ディスクなしの4枚組。)

 おっさんずラブ2016も気になります。連ドラの前に単発で放送されていたドラマです。

 公式ツイッターやインタビューなどでも現場が本当に楽しかったのが伝わってきますから、撮影の裏側も面白そうですよね。

 OL(おっさんずラブ)ロスの方も、まだまだ楽しめるコンテンツがあるんだお★
 

「おっさんずラブ展 ~君に会えてよかった。~」東京凱旋開催

東京、大阪、名古屋での巡回開催を経て、ファンの熱い期待に応え本展覧会の凱旋として「おっさんずラブ」の世界観をもう一度楽しんでもらえるチャンスとなります!

日 程:2018年11月16日(金)~12月16日(日)
営業時間:10:30~22:00(最終入場21:30 まで)
場 所:タワーレコード渋谷店 8階 SpaceHACHIKAI
東京都渋谷区神南1-22-14 タワーレコード渋谷店 8F
Tel:03-3496-3661
入場料 :800 円(高校生以下 500 円)
※お一人さま4枚まで
※未就学児無料
※入場特典あり
チケット :10月27日(土)10:00 プレイガイド一般発売開始
ローソンチケット <受付URL> https://l-tike.com/ossanslove-ts
特設サイト:https://www.ossansloveexhibition.com/

入場の時間には決まった区分・定員があります。

当日券では、現地で並んだり、希望入場時間のチケットを入手できない可能性もあります。

事前に空き時間を確認し、チケットを購入されてから行くのが安心かと思います。

天空不動産のセット、衣装、思い出の小道具などが見られるようです。

東京付近にお住まいの方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?

Revival(蘇らせ)はスキマスイッチ『Revival』で。

こちらは、ドラマ『おっさんずラブ』の主題歌です。

(ようやく、音楽の紹介もするんだお★)

スキマスイッチの『Revival』は、まさにドラマを想起させるような、切ないバラード。

この曲は、王道路線のバラード。

王道恋愛ドラマの主題歌にふさわしく、素直に心に入ってくる曲です。

そして、ミュージックビデオは、ドラマ「おっさんずラブ」のロケ地を舞台とした”聖地巡礼ミュージックビデオ“。

ドラマ「おっさんずラブ」の記憶がRevivalする(蘇る)ような映像作品となっている。

なんと、最後にははるたんが登場します。

あの笑顔をもう一度見たい方は必見ですよ。

曲だけ楽しみたい方には、スキマスイッチの他の曲も一緒にチェックしてみましょう。

大切なあの人にラブソングの花束を-
2018年9月19日 AL「スキマノハナタバ ~Love Song Selection~」発売

関連のTwitterを見ていたら、おっさんずラブ各話の聖地巡礼マップを作っている猛者もいました。

おっさんずラブ展にも、何度も足を運んでいる方もいました。

人気は日本国内にとどまらず、韓国・台湾・香港では、当期の日本ドラマ視聴率ナンバーワンにもなりました。

このOL(おっさんずラブ)旋風はいつまで続くのでしょうか・・・。

未来のあなたへ。笑顔で会いましょう。 星野源『Hello Song』

この世にまた一つ、名曲が誕生しました。

星野源の『Hello Song』

星野源NEWアルバム『POP VIRUS』に収録されている曲『Hello Song』です。

12/19発売に先駆けて、星野源のANNにて宇宙初オンエアされました。

私は以降、radikoで同じオンエア時間に合わせては、何度もリピート視聴しました。

各ラジオ局へのリクエストも解禁されていますので、お気に入りの番組に曲をリクエストするのもいいですね。

曲の一部は、YouTube星野源さんと一緒に視聴することも可能です。

ただ、星野源さんの可愛らしさに見入ってしまって、曲が頭に入ってきません。

『ラジオの時と同じ赤パーカーだな。お気に入りなんだな。』とか思ってしまって頭に入ってきません。

間奏とかもカッコイイので、フル尺でじっくりと聞いて欲しい曲です。

この曲の注目ポイントを、愛情を持ってお話します。

原曲は、ACジャパンのCMソング

ACジャパンのCM用に作成された楽曲が元になっています。

遡ること2年半ほど前。CMでしか聞けなかった曲でした。

ずいぶん時間が経つので、存在は忘れかけていましたが好きな曲です。

CM尺に合わせての曲ということで、イントロは極短でした。

今聞き返すと、どこかで知っているような気がして、思い出したのは『地獄でなぜ悪い』のイントロ。

ヴァイオリンで奏でるサイレン風の不穏な音色の後に、ジャッジャッジャーン!と始まります。

ヴァイオリンって多様な表現ができるのだなーと驚いたものです。

このサイレン風の音色をグッと短くした感じのイントロです。

曲の趣向がこんなに違うのに、どちらも違和感はありません。

CMの映像では、このイントロで時間がギュルルッと1964年に遡ります。

CMのキャッチコピーは、ライバルは1964年。

1964年は、オリンピックが東京で開催された年です。

アジアでの初開催でもありました。

日本は高度成長期で、世の中は活気に溢れていたと言われる年です。

2020年の東京オリンピック開催に向けて、1964年に負けないぐらい盛り上げていこう。という内容のCMでした。

CMでは、星野源さんが大好きなクレイジーキャッツ植木等さんも画面上で登場しました。

クレイジーキャッツは、バンドやお笑いなど幅広く活躍されたエンターテインメント集団です。

中でも植木等さんは、昭和を代表する明るく陽気なお父さん風のキャラで大人気でした。

私の父も大好きで『スーダラ節』は、カラオケでもよく歌っていました。

星野源さんも過去に、ライブなどでしっとりとしたカバー曲を披露しています。

故人でありながら時を超えて共演することが出来、当時は感動した旨を話していました。

そして、CM曲としては極短のイントロ+サビだけの構成でした。

星野源さんのCMナレーションも心地よかったです。

この曲を元に、今回は一から作り直し、録音し直されました。

どう変わったのでしょうか?

星野源 新曲『Hello Song』

新しく作り直した新曲『Hello Song』は、イントロから面白い。

CMバージョンにもあるサイレンのような音が更に短くなり、小刻みに5回鳴ります。

その直後、ドラムのスティック音が遊ぶように軽快に弾けます。

この一瞬でワクワクし、どんな曲かと期待に胸を膨らませました。

それが、次の瞬間に『Hello Song』のサビメロディが流れ、『知ってる曲だ!』と裏切られました。

しかし、初めて聞くAメロが始まると『やっぱり新曲じゃん!』と、短時間に何回も裏切られた気持ちになります。(嬉しいこと)

サビに関しても、少しメロディがアレンジされていました。

いつかあなたに いつかあなたに 出会う未来 Hello Hello

いつかあの日を いつかあの日を 超える未来 Hello Hello

笑顔で会いましょう

星野源『Hello Song』作詞・作曲/星野源

2つ目の “いつかあなたに“
2つ目の “いつかあの日を”
ここの“あなたに”の歌いまわしが、低音で落ち着く音で着地しています。

側で寄り添うような歌いまわしになっていると感じました。

そして、間奏がなによりカッコイイです。

まるでライブ中に楽器の見せ場を作って遊ばせるように、伸び伸びと演奏しています。

ピアノやギターの演奏が、メインで楽しめます。

ベースは、CMバージョンではエレキベースだったものを、ウッドベースコントラバス)に変更されました。

奏者は、星野源さんバンドでも昔からお馴染み、伊賀航さん。

より柔らかく温かみのあるベース音になりました。

そんな曲に乗せる歌詞は、優しく暖かいメッセージです。

未来のあなたに。笑顔で会いましょう。

今ある世の中も、数多の先人たちが切り開いてきた世の中。

未来は私たちが切り開くものだけど、決して特別な人でなければいけないわけではない。

この世未来切り開く 何でもない君に

星野源『Hello Song』作詞・作曲/星野源

そう。私でも、あなたでも、何でもない私たちへ届けてくれる歌。

そして、これは理想論ではなく、この世は実際に何でもない人が切り開いてきた世の中だと教えてくれている気がします。

どんな偉人でも、ただ一人だけで世界を作っているわけではないと思います。

その他大勢の何でもない人が切り開いてきたし、今もそうだと思います。

切り開いた未来で、私もあなたも笑顔で会いましょう。って呼びかけてくれます。

こういう優しすぎて泣ける曲は、星野源さん得意ですよね。

押しつけがましくない優しさで溢れています。

“あなたの笑顔が見たい“というのでは、押しつけがましい気がしてしまいます。

“笑顔で会いましょう“ということで、私も、あなたも、星野源さんも同列に扱っているように感じます。

“いっしょに約束しようね。“って言ってくれている雰囲気があります。

微妙ですが、わかりますかね?

ふと、ライブではラストに歌いそうな曲だと思いました。

アンコール前の最後の曲ぐらいになるのではないでしょうか?あくまで私の予想ですが。

この曲も含むアルバム『POP VIRUS』の発売も、さらに待ち遠しくなりました。

米津玄師『 LOSER』孤独と愛を叫ぶ!?


米津玄師さんの『LOSER』。

ボカロ時代のハチさんを知らなかった私も知ることになり、幾度もリピートして聞いた曲。

ダンスが話題になりましたけど、楽曲そのものが素晴らしいことが前提にあります。

自然に組み込まれた韻も心地よく、リズミカルなテンポで歌われるのは、胸にグッと突き刺さるような・・・孤独なのに勇気が出る、不思議な曲。

みんなが知っている人気曲を今さら書くのはどうかとも思ったのですが、詳しく調べて見たくなり書くことにしました。

歌詞に引用されている言葉からは、米津さんの多様な知識も伺え、すごいなあと感心するばかり。

曲の内容もわかるようで、わからないような不思議な曲だと感じます。

ご興味のある方はお付き合いください。

※あくまで個人的な解釈ですので、ご了承ください。

孤独な夜の過ごし方

夜って、もやもやと考えてしまいませんか?

孤独を感じる夜。

もううんざりだけど、夜だし、どこにも行けないし(言い訳)

『明日は楽しいことがあるかもしれない。』

なんて、淡い期待を胸に結局寝るだけっていう。

そんな様子が伺える冒頭でこの曲は始まります。

ネットで世界と簡単に繋がれるけど、実生活では孤独を感じやすい現代社会にも多いと感じます。

音楽動画のネット配信をしていた米津さんも孤独だったのでしょうか?

私には知る由もありませんが。

基本的には、米津玄師さんは孤独などを感じやすいネガティブな人だと感じます。

四半世紀の結果出来た青い顔のスーパースター

『LOSER』作詞・作曲/米津玄師 より引用

と、25歳(当時)の米津さん自身をディスって表現しています。

クリエイティブな仕事の方は、元々家に引きこもりがちだとは思います。

小説家、漫画家、音楽家など、結局は一人で生み出すことから始まる職業の方たち。

家に引きこもり日光に当たらず、不健康で青い顔になるのも仕方ないでしょう。

更に、音楽動画の配信をして人気アーティストになっても

ここはどうだ楽園か?

『LOSER』作詞・作曲/米津玄師 より引用

と、成功や幸せを実感できないでいます。

浮かれたりもしないし、まだ現状に満足していないのですね。

周りから見た自分を取り巻く世界と、本人から見える周りの世界も違うものです。

楽園とは何なのか?も本人ですらわかっていないのかもしれません。

かなりストイックに上を目指しているのか?

はたまた、孤独から解放される場所のことなのか?

アイムアルーザー

『LOSER』作詞・作曲/米津玄師 より引用

と、自分を蔑む米津さん。

ルーザー【負け犬】と呼んでいます。

どんなに売れても満足出来ない側の人ではないでしょうか?

成功者への妬み、嫉み、楽しく過ごしている者への嫉妬など、色々あると思います。

ああだのこーだの知ったもんか
幸先の空は悪天候 
ほら窓から覗いた 摩天楼 からすりゃ塵のよう 
イアンもカートも 昔の人よ
中指立ててもしょうがないの
今勝ち上がるためのお勉強 朗らかな表情 

『LOSER』
作詞・作曲/米津玄師 より引用

不吉な前兆があっても、成功して摩天楼のように高いところから見れば、塵のように些細なことだと言っています。

イアンもカートも昔の世界的トップミュージシャンとして名を挙げているのだと思います。

過去の成功者を妬んでいても仕方ないですよね。

自分が高みに登れるように頑張るしかないです。

しかし、自分のことを考えすぎると、自意識も膨れ上がってきます。

踊る阿呆に 見る阿呆
我らそれを端から笑う阿呆 
でかい自意識を抱え込んでは もう 磨耗
すり減って残る酸っぱい葡萄 
膝抱えてもなんもねえ ほら
長い前髪で前が見えねえ 
笑っちまうね パっと沸き立って
フワっと消えちゃえる こんな輪廻

『LOSER』
作詞・作曲/米津玄師 より引用

徳島の阿波踊りで、“踊る阿呆に 見る阿呆 同じ阿呆なら踊らにゃ損々“という歌いだしの1節があります。

“どうせなら、楽しく踊って過ごさなきゃ損だよ。“ということです。

これとは少し違っている部分があります。

私たちは踊る阿呆でも見る阿呆でもどちらでもなく、“端の方で嘲笑しているだけの傍観者“だと歌います。

自意識が膨らんでいき、妬んでいるだけ。

これを“残る酸っぱい葡萄“と言っています。

酸っぱい葡萄は、イソップ寓話のお話のことです。

キツネがおいしそうなブドウを見つけるが、高いところにあり、どうしても手が届かない。

しまいには「あのブドウはきっと酸っぱくて、まずいに違いない」と言って去る。

・・・というお話。

つまり、本当は踊る阿呆が羨ましいのに、そうなれないから妬んでいるんですね。

本当は楽しく過ごしている人が羨ましいのに、自意識過剰で、どうしても同じようにできない。

『どうせそんなこと、つまんないでしょ。』という顔をするしかできない。

自意識は“高い““低い”と表現しますがどちらでもなく、ただ“でかい”だけの自意識を抱え込み、精神が消耗します。

膝を抱えてふさぎこんでいたって、何もならない。

長い前髪も、邪魔で前が見えないだけ。

あっという間に生まれて消える。

それを繰り返すだけの人生だと言っています。

本当は、みんなは周りのことなんて大して気にもしていないですけどね。

自意識でかい+自己評価が低いというのは、やっかいです。

身動きが出来なくなってしまします。

本当は楽しく踊りたいのにそう言えないということもありますが、今度は愛されたいのにそう言えない者へ。

「愛されたい」って言おうぜって呼びかけます。

愛されたいならそう言おうぜ
思ってるだけじゃ伝わらないね  
永遠の淑女はそっぽ向いて
天国は遠く向こうのほうへ 
ああわかってるって 深く転がる 俺は負け犬 
ただどこでもいいから 遠くへ行きたいんだ
それだけなんだ

『LOSER』
作詞・作曲/米津玄師 より引用

永遠の淑女は、ダンテ・アリギエーリ(イタリアの詩人・政治家)の代表作『神曲』に登場する“ベアトリーチェ“。

彼女は、“永遠の淑女”とも呼ばれ、愛を象徴する存在として神聖化されています。

愛されたいなら、思っているだけでは伝わらない。

愛の象徴からも相手にされず、遠ざかっていきます。

愛されたいとわかっているのに言えないし、自分は負け犬だということもわかっている。

タイトルや歌詞で『LOSER』と言いながら、孤独や愛への渇望が垣間見えます。

これを感じ取るのは、自身にも孤独を感じやすいタイプの人だけかもしれません。

私はわけもなく悲しくなって泣いたりするタイプで、この曲を聞いて悲しくて孤独だと感じました。

しかし、ずっと一人で、友達がいなくても何も感じないタイプの私の知人は、この曲に全く孤独を感じなかったようです。

みなさんはどう感じたでしょうか?

もちろん、この曲が歌うのは、孤独や愛だけではないと思います。

“遠くへ行きたい。“

この表現が米津さん独自のものですが、表現への飽くなき探求心とでも言いますか。

未だ到達していない、新しいもの(音)を求めている感じがします。

耳を澄ませ 遠くで今  響き出した音を逃すな
呼吸を整えて 
いつかは出会えるはずの
黄金の色したアイオライト
きっと掴んで離すな

『LOSER』
作詞・作曲/米津玄師 より引用

遠くで響きだした音に導かれるのは、アイオライトかもしれない。

アイオライトは、夢や目標、自分らしさへと導く石。

ビジョンを指し示す人生の羅針盤

アイデンティティを呼び覚まし、本来の自分自身を取り戻す。と言われています。

菫(すみれ)がかった色から、灰色がかった黄色へと、見る角度によって色が変わる鉱石です。

米津玄師さんは、ずっと自分らしい音を探し求めています。

それは、人によっては別の何かに代わるアイデンティティのことです。

やっと意識の遠くにでも聞こえてきたのでしょうか?

それを見つけたら掴んで離すな。と強いメッセージを呼び掛けています。

希少価値のある自分自身の音を見つけたい。

みんな自分自身の道を見つけたい、誇れるものが欲しいという欲求もあるでしょう。

とにかく、前へ進まないことには、どうしようもありません。

進むときに、考えこみ過ぎるのは厳禁です。

考えすぎる夜から脱却しよう

最後の最後に、やっと思考の闇から救出される気がしました。

内向的な世界から、表の世界へ飛び出していけるように背中を押してくれます。

アイムアルーザー
なんもないなら どうなったっていいだろう             
うだうだして ふらふらしていちゃ
今に 灰 左様なら
アイムアルーザー 
きっといつかって願うまま 進め 
ロスタイムの そのまた奥へ行け

『LOSER』
作詞・作曲/米津玄師 より引用

どうせ元々なんにもないんだから、どうなってもいい。

そんな楽天的な思い切りの良さは大事かもしれません。

このままうだうだして死んでいくだけより。

きっといつか夢を叶えたいとか、自分らしい目標を見つけたいとか、愛してほしいとか、自分の願ったままでいいから。

傍観者はやめて、自分で先へ進んでいうぜ。

失われた時間だけでなく、もっと先まで進もう。

そんなメッセージが込められていると思います。

元々なんにもない人は勿論ですが、何かを築いてきた人で失った人もいるでしょう。

一度手に入れていた人も、初めは何もなかった。

そう思えば、全ての人はここから頑張れるのではないでしょうか?

どのみち亡くなったら、灰になってなくなるだけですし。

“灰 左様なら“は、戯作者 十返舎一九の辞世の句

「この世をば どりゃ おいとまに せん香の 煙とともに 灰左様なら」 

亡くなることを、“この世をおいとまする“って表現も面白いですね。訪問先じゃなんだから。

それはさておき、曲中で使用されている“灰 左様なら“は、亡くなったら、はい、さようなら。と、火葬されて“灰“になるということをかけたシャレ。

シャレにしつつも、理にかなっているところが妙です。

この曲にこのフレーズが入ったことで、『シャレのように歌うけど、本当にそうだからね。』と言われている気がします。

米津玄師さんはすごく賢い方だと感じますが、創られた音楽はとても感覚的だと感じます。

歌詞も色々な引用を組み込んだりあちらこちらに話が飛ぶのに、米津節の世界観で不思議とまとまっている感じがします。

詳しい歌詞の意味はわからなくとも不思議と胸に響く曲になっています。

深く調べて理解を深めるとより面白く、胸に突き刺さる曲です。

イントロの『すうっっ!』と息を吸い込むところや、

サビで、『Fu!!』と遠吠えが連鎖するような合いの手が入るところも気持ちが良くて好きです。

最後には、勇気、元気を与えてくれる米津玄師さんの『LOSER』。

これからも、聞き続ける曲の一つでしょう。

星野源が乗り越えた心の闇

全国の星野源ファンの方と、そうでもない方へ。

ダ・ヴィンチ』2018年12月号は読みましたか?

今月号は、表紙+30ページ以上に渡る星野源の大特集でした。

『ダ・ヴィンチ』は何かと言いますと、書籍の紹介をしている月刊誌です。

本好きの人間には嬉しい雑誌で、私も昔から時々は読んでいたのですが・・

今回は、星野源NEWアルバム『POP VIRUS』発売発表を記念しての大特集。

テーマは、『星野源と、思考』。

確かに、素直な性格ながら、ミステリアスな面もある星野源さん。

何を考えているのかが気になりますね。

かつて、この雑誌で星野さんは『いのちの車窓から』というエッセイを連載していました。

編集部が『もっと星野源の思考を掘り下げたい!』との気迫で実現した企画!!

編集部も、星野源の『POP VIRUS』に感染させられたんだなあ・・・。

『POP VIRUS』に関しての記事はこちら。

nanimonodemonai-musume.hatenablog.com

今回、私はAmazon Kindleで購入。

これならどこでもスマホやPCで読めるし、汚れないし。

同居人にも場所取るって怒られる心配がありません。

思い切ってKindleデビューです。

内容をチェックしました。

まだ読んでないよ。知りたくないよ。
という人は、先を読むかどうかは自己判断でお願いします。

雑誌の読み方も、人それぞれですよね。

前から順に読む人。
気になる特集から読む人。
後ろから読む人。

私は、前から読みました。

表紙のグラビア写真。
本人インタビュー。
星野源とお仕事をした豪華関係者へのインタビュー。
対談。
著名人が星野源の作品をイメージして描きおろしたイラストなど。
数々の贅沢な特集は、大ボリュームでどれも面白かったです。
星野源の物作りの姿勢が、制作側から見えるのは嬉しい。

・・・しかし、一番の目玉は
『いのちの車窓から』コーナーの復活!!

やっぱり、ファンとしては星野源本人の言葉(エッセイ)が一番楽しみでした。

連載時は1ページ毎の連載でしたが、今回は見開き(2ページ)に渡るエッセイ。

これが、『こんなつもりじゃなかった・・・↓↓↓』
と後悔するほどの悲しい内容も盛り込まれていました。

(それでも読めてよかったと思うけど。)

星野さんのエッセイでこんなに泣いたのは、『働く男』の、くも膜下出血の病気の話以来です。

今回は、星野源さんの心の病です。

心と体は、密接に関係しています。
過密スケジュールにより睡眠不足になり、自律神経失調症にもなるでしょう。
それにより、心も病んでいった部分もあるでしょう。
しかし、星野源さんはそれは理由として挙げていませんでした。

大ヒット曲『恋』以降に、星野源が病みだした理由。
それは、連日仕事もプライベートも関係なく人目に晒され続けるストレス。

インフルエンサーになった星野源の名前を利用しようと、あの手この手で近づく大人たち。

近づけないならと、勝手に話を作り上げる記者たち。

行きつけのお店で待ちぶせしているファン。

売れることは嬉しいはずなのに、日々、悲しい、辛い気持ちが膨らんでいったそう。

その負の感情を誰かにさらけ出すこともできず、病んでいきました。

仕事以外では、ずっと隠れるように過ごしていたとのこと。

自分の暗い部分を表現するということは、とても勇気のいることです。

それが人を傷つけるかもしれない、自分が我慢すればいいと思う、繊細で優しい人なら尚更。

しかし、星野源だし。
私は少し意外でした。

今まで、そういうことも素直に表現してきたタイプだし。

例えば、昔からお腹が弱いエピソード。
学生の頃に、体育の授業でウンコを漏らしてあだ名がウンコになったとか。
オタク系の長髪だったり、不登校だった頃があることなど。

ファンの間では有名な話です。
そんな黒歴史も笑って話すタイプだから、ストレスは溜まらなそうと思うわけである。

だけど、急な状況の変化には、星野源も対応しきれなかったのでしょう。

周りは関係なく、精神をフラットの状態に保つのは難しいことだと思います。

逃げ恥を撮影していた頃。
共演者の新垣結衣さんのことを、「普通の感覚の女の子でいられることが凄い。」と褒めていました。

過去には鶴瓶さんのことを、裏表がなくて素敵だと言っていました。

自分もそうでありたいと言っていました。

それなのに、いつしかパブリックイメージの星野源に飲まれてしまっていました。

星野源のいう『POP VIRUS』の闇の部分です。

喜んで目立つ人もいるでしょうが、稀なタイプでしょう。

精神が蝕まれ、その時救いになったのは、お友達の生田斗真さん。

生田斗真さんといえば、アキハバラ@DEEPで共演して以来の友人。

星野源さんよりも業界は先輩ですし、ジャニーズ事務所所属ですし、イケメンですから。

ファンに追い掛け回されたりも、過去に経験されているでしょう。

それでもひねくれることなく、明るく優しい気遣いのできる斗真くん。

いかに優しい人であるかは、星野源さんからも語られています。

『星野源に良い友達がいてくれてよかったー!!!』(ファンの声)

気分転換にハワイへ二人旅に行った話は、自身のラジオでもしていました。

当時体調の悪かった星野源さん。

お腹を壊していて、トイレを探しまわったことも笑って話せていたからよかった。

思えば2017年の星野源さん、確かに顔色はずっと悪いイメージでした。

一段と痩せ細り、げっそりとしていました。

変ったのは星野源さんの周りもです。

単独ライブに行くと、『恋』以降はファンの様子が違っていました。

あちこちで、イレブンプレイ(ダンサー)さんのコスプレ風スカートを履いた女子。

ニセ明さんのコスプレをした学生。

以前ではない光景を目にして、不思議な気持ちでした。

音楽だけを純粋に楽しむ以上に、お祭り騒ぎ感があった。

会場でのアイドルみたいな黄色い声援なんかも、それまでなかったんです。

以前はですね、
お客は大人しそうな男女ばかりで、ライブが始まると急に踊りだすイメージでした。

途中のMCでも静かにしていて、星野さんから声援をねだるほど。

『同じ人のライブだよね!?』と戸惑いました。

今回のダ・ヴィンチの構成は、本当にえぐかった。

散々、星野源というアーティストの凄さを関係者に聞いて回り。

特集した最後のページに、目玉である本人エッセイ。

それは当然のことです。

それが皮肉なものです。

凄い凄いとみんなでもてはやした結果

『POP VIRUS』の肝でもある、暗い星野源の魂の叫びが聞こえてきた。

私は、星野源をアイドルのように思っているファンに物申します。

星野源は、ギター弾いてなきゃ、
歌歌ってなきゃ、
音楽作ってなきゃ、
芝居してなきゃ、
単なる変態下ネタ好きのアラフォーのオッサンである。
ラジオで、あんなにエグイ下ネタメールを楽しそうに読んでるんだもの!?
リスナーが大人しかった時は、本人の発言はもっと過激でした。

そして、クソもするし、屁もこくし、
起きたばっかりはきっと口も臭いし、
普段の星野源には何の価値もないよ。
みんなと同じ、ただ生活してるだけだよ。

稀に、リアル王子様みたいな人もいるかもしれないが、
星野源は人間くさい一般人。

今回のエッセイにガッカリした・・・というファンの声も聞きますが、
商業的星野源と、リアル星野源は別に決まってる。

嘘をついてるとかいうことではない。

どう売りたいっていう、企業の戦略があるだけ。

ファンの在り方も問われています。

今はファンの人数がえらい数だから。

自分一人だけの行動と思って動くのは安直です。

星野源さんを、なるべく疲れさせないようにしようね。

正しく応援しましょう。

毎月発刊の雑誌にしては珍しく、大反響により重版されたとのことですので、

読まれてない方は購読をオススメします。

POP VIRUSに侵される星野源の世界

星野源さん、3年振りのNEWアルバム
『POP VIRUS』(ポップ ウイルス)
の発売を発表されました。


大ヒット曲「」「Family Song」「アイデア」も収録とのことですが、
まだ発表されていない収録曲の中には暗い曲も同じくらい入るそうです。

どういうコンセプトのアルバムであるか
本人から語られた内容を元に、解説していきます。

POP VIRUSという言葉の意味

この言葉は、当然造語です。
ライター、編集者であった故・川勝正幸さんが著書に記していた言葉。
星野源さんがふと思い出し、自分なりの解釈も新たに加え、使用しているとのことです。

POP

popular(大衆的)の簡略形。
時流に乗っている様子。
まさに「恋」という曲、「恋ダンス」「逃げ恥」が社会現象となりました。
「恋」が大衆的な曲、星野源が大衆的アーティストと認知された瞬間です。

VIRUS(ウイルス)

細菌の50分の1程度の大きさ。
とても小さく、自分で細胞を持ちません。
細胞がないので、他の細胞に入り生きています。
ヒトの体にウイルスが侵入すると、
ヒトの細胞の中に入って自分のコピーを作らせ、
細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、
ほかの細胞に入りこみます。
このようにして、ウイルスは増殖していきます。

つまり、なにかが大衆的に流行るとき
自分がPOP VIRUSに知らない内に侵され増殖し、
あっという間に他の人にも入り込み増殖し
みんな熱に浮かされてる状態だということ。

この熱に浮かされるという言葉にも
2つ意味があります。
①病気により高熱で、うなされる。
②夢中になる。のぼせあがる。

このことから、VIRUSの言葉の中には、
流行の性質と同質のものがあると解釈できます。

しかし、VIRUSに感染しているとき、
人は予想以上の熱が出たり、辛い思いをします。

一方、流行の渦中にいるアーティストは
ただ楽しい最中のように想像すると思います。
しかし、星野源は「恋」が流行した翌年
2017年は大変辛い思いをしていたそうです。
詳細は語られませんが、多忙の極みで体調や精神が蝕まれたのかもしれません。
まさに、この点でもVIRUSに感染した状態と酷似していました。

流行して嬉しい反面、
苦しい面も多かったことが反映されているアルバム。

それが『POP VIRUS』という言葉に表現されているコンセプトです。

心臓を想起するデザインの秘密。

ジャケット写真は、吉田ユニさんの作品。
星野源の『恋』『FamilySong』『アイデア』なども
担当しており、引き続きタッグを組んでいます。

土に根を生やし、花を咲かせる植物。
赤と青の花も印象的ですが、
人の心臓の形をしていることに気づいた方もいるでしょう。

この心臓を模した造形ですが、
医学的にも正しく再現されています。
土:心臓
根:冠動脈(血管)
花:大動脈(太い血管)

素材は生きた植物を使用されているそうです。
CGは一切使用していません。

撮影現場の片隅で、別作業をしながら様子を見ていた星野源さん。
吉田ユニさんや美術スタッフの山田さんらが
花が枯れないよう、水などの栄養を与えながら
長時間の撮影をしていた様子を目撃していました。

にわかには信じられないと思います。
生きた植物を、人工的に意図した形に再現するのは
至難の業です。
これは、盆栽職人もきっと脱帽するレベル。

使用されているこの花は何なのか調べたのですが、
完全一致する植物は、ついにわかりませんでした。
どこから探して育てたのでしょうか?
この為に生まれてきた植物のように感じます。
動脈、静脈をイメージする鮮やかな赤と青の花。
とても綺麗です。

しかし、どうして心臓を模した形なのか?

星野源さんからは具体的に心臓の形とは指示していません。
アルバムには楽しい曲、悲しい曲、ゆったりした曲など様々な曲が収録されること。
暖かいが、グロテスクにしたいと要望を伝えたそうです。

そこから心臓をモチーフに考えた場合、
心や、ハートマークなども連想されますが
そういうPOPで可愛い印象ではない。

生きた植物を素材にしたことで
心臓も“生きている”ことが協調される。
暖かい血流が脈を打ち、生きる。
より生々しさが協調されます。

POP VIRUSに侵されよう。

楽しいことも、苦しいことも表現されているアルバム。『POP VIRUS』

最新シングル『アイデア』は、
1番が朝ドラの主題歌であり、明るい曲でした。
しかし、2番以降が発表されると、暗い内容であることで衝撃がありました。

今回のアルバムを象徴するシングルだったと言えます。

こちらは、配信限定販売のシングルでしたが
今回はCDに収録されます。

私の友人に、配信曲はハイレゾ以外は聞かないという音質重視の者がいます。
データ量が多いため、スマホで音楽を聴くには向いていないことから、まだニーズは少ないと思います。
そんな希少な類の友人も、アルバム発売を喜んでいました。

私も熱に浮かされながら、
楽曲が聞けることを楽しみにしています。

発売は、2018年12月19日(水)

まだ先ですが、予約販売が始まっています。

オススメは、初回限定版A
CD+Blu-ray+特製ブックレット のフルセット。
星野源の次のアルバムは、また3年後かもしれません。
それまでじっくり何度も楽しめる内容だと思います。

悲しみにくれる日も、スキップするほど嬉しい日も
きっとその気持ちに寄り添う楽曲があると思います。
CDを何度もリピートして聞き、
歌詞やアートワークが気になればブックレットを開き、
くだらない遊びを見たい時にはBlu-rayを鑑賞し、
雑談が聞きたい時にはBlu-rayの副音声を楽しみ、
過ごせることと思います。

特典のクリアファイルが欲しい方は
数量限定ですので、ご予約はお早めに。