キューピーの音楽評論(仮)

星野源のファンブログ

POP VIRUSに侵される星野源の世界

星野源さん、3年振りのNEWアルバム
『POP VIRUS』(ポップ ウイルス)
の発売を発表されました。


大ヒット曲「」「Family Song」「アイデア」も収録とのことですが、
まだ発表されていない収録曲の中には暗い曲も同じくらい入るそうです。

どういうコンセプトのアルバムであるか
本人から語られた内容を元に、解説していきます。

POP VIRUSという言葉の意味

この言葉は、当然造語です。
ライター、編集者であった故・川勝正幸さんが著書に記していた言葉。
星野源さんがふと思い出し、自分なりの解釈も新たに加え、使用しているとのことです。

POP

popular(大衆的)の簡略形。
時流に乗っている様子。
まさに「恋」という曲、「恋ダンス」「逃げ恥」が社会現象となりました。
「恋」が大衆的な曲、星野源が大衆的アーティストと認知された瞬間です。

VIRUS(ウイルス)

細菌の50分の1程度の大きさ。
とても小さく、自分で細胞を持ちません。
細胞がないので、他の細胞に入り生きています。
ヒトの体にウイルスが侵入すると、
ヒトの細胞の中に入って自分のコピーを作らせ、
細胞が破裂してたくさんのウイルスが飛び出し、
ほかの細胞に入りこみます。
このようにして、ウイルスは増殖していきます。

つまり、なにかが大衆的に流行るとき
自分がPOP VIRUSに知らない内に侵され増殖し、
あっという間に他の人にも入り込み増殖し
みんな熱に浮かされてる状態だということ。

この熱に浮かされるという言葉にも
2つ意味があります。
①病気により高熱で、うなされる。
②夢中になる。のぼせあがる。

このことから、VIRUSの言葉の中には、
流行の性質と同質のものがあると解釈できます。

しかし、VIRUSに感染しているとき、
人は予想以上の熱が出たり、辛い思いをします。

一方、流行の渦中にいるアーティストは
ただ楽しい最中のように想像すると思います。
しかし、星野源は「恋」が流行した翌年
2017年は大変辛い思いをしていたそうです。
詳細は語られませんが、多忙の極みで体調や精神が蝕まれたのかもしれません。
まさに、この点でもVIRUSに感染した状態と酷似していました。

流行して嬉しい反面、
苦しい面も多かったことが反映されているアルバム。

それが『POP VIRUS』という言葉に表現されているコンセプトです。

心臓を想起するデザインの秘密。

ジャケット写真は、吉田ユニさんの作品。
星野源の『恋』『FamilySong』『アイデア』なども
担当しており、引き続きタッグを組んでいます。

土に根を生やし、花を咲かせる植物。
赤と青の花も印象的ですが、
人の心臓の形をしていることに気づいた方もいるでしょう。

この心臓を模した造形ですが、
医学的にも正しく再現されています。
土:心臓
根:冠動脈(血管)
花:大動脈(太い血管)

素材は生きた植物を使用されているそうです。
CGは一切使用していません。

撮影現場の片隅で、別作業をしながら様子を見ていた星野源さん。
吉田ユニさんや美術スタッフの山田さんらが
花が枯れないよう、水などの栄養を与えながら
長時間の撮影をしていた様子を目撃していました。

にわかには信じられないと思います。
生きた植物を、人工的に意図した形に再現するのは
至難の業です。
これは、盆栽職人もきっと脱帽するレベル。

使用されているこの花は何なのか調べたのですが、
完全一致する植物は、ついにわかりませんでした。
どこから探して育てたのでしょうか?
この為に生まれてきた植物のように感じます。
動脈、静脈をイメージする鮮やかな赤と青の花。
とても綺麗です。

しかし、どうして心臓を模した形なのか?

星野源さんからは具体的に心臓の形とは指示していません。
アルバムには楽しい曲、悲しい曲、ゆったりした曲など様々な曲が収録されること。
暖かいが、グロテスクにしたいと要望を伝えたそうです。

そこから心臓をモチーフに考えた場合、
心や、ハートマークなども連想されますが
そういうPOPで可愛い印象ではない。

生きた植物を素材にしたことで
心臓も“生きている”ことが協調される。
暖かい血流が脈を打ち、生きる。
より生々しさが協調されます。

POP VIRUSに侵されよう。

楽しいことも、苦しいことも表現されているアルバム。『POP VIRUS』

最新シングル『アイデア』は、
1番が朝ドラの主題歌であり、明るい曲でした。
しかし、2番以降が発表されると、暗い内容であることで衝撃がありました。

今回のアルバムを象徴するシングルだったと言えます。

こちらは、配信限定販売のシングルでしたが
今回はCDに収録されます。

私の友人に、配信曲はハイレゾ以外は聞かないという音質重視の者がいます。
データ量が多いため、スマホで音楽を聴くには向いていないことから、まだニーズは少ないと思います。
そんな希少な類の友人も、アルバム発売を喜んでいました。

私も熱に浮かされながら、
楽曲が聞けることを楽しみにしています。

発売は、2018年12月19日(水)

まだ先ですが、予約販売が始まっています。

オススメは、初回限定版A
CD+Blu-ray+特製ブックレット のフルセット。
星野源の次のアルバムは、また3年後かもしれません。
それまでじっくり何度も楽しめる内容だと思います。

悲しみにくれる日も、スキップするほど嬉しい日も
きっとその気持ちに寄り添う楽曲があると思います。
CDを何度もリピートして聞き、
歌詞やアートワークが気になればブックレットを開き、
くだらない遊びを見たい時にはBlu-rayを鑑賞し、
雑談が聞きたい時にはBlu-rayの副音声を楽しみ、
過ごせることと思います。

特典のクリアファイルが欲しい方は
数量限定ですので、ご予約はお早めに。