キューピーの音楽評論(仮)

星野源のファンブログ

星野源がグレた!?『Pop Virus』【MV】の世界観

2019年12月12日。

3年振りの星野源 NEWアルバム『POP VIRUS』(ポップ ウイルス)の表題曲、『Pop Virus』のMVが解禁されました。

舞台イメージは、ニューヨークの地下鉄の車内。(理由は、後述します。)

車内の壁などにはたくさんの落書きがされていて、外国人の乗客の中にサングラスをした悪ぶった星野源が紛れています。

近年発表されたシングル『恋』『ドラえもん』『FamilySong』などの可愛らしく明るい星野源さんのイメージとはほど遠いもの。

ダウナーでカッコイイ星野源さんがいます。

ここで驚かされた人は多いと思います。

しかし、元々こういった心の暗い側面があったことは確かです。

星野源さんが思春期の頃には、不登校だった時期もありますし。

最近でも塞ぎこんでいた時期があり、『ダ・ヴィンチ』に掲載されたエッセイで本人から語られました。

nanimonodemonai-musume.hatenablog.com

心の闇を投影したような薄暗く荒れた車内に、音楽が流れます。

イヤホンをした女性は音に合わせて軽く体を揺らし、ヘッドホンをした男性はビートを刻みます。

これは一見エアドラムのようにも見えますが、MPCという楽器を演奏しています。

MPCプレイヤーは、星野源『アイデア』にも参加しているスタッツさん。

そのビートは、不規則に刻む心臓の鼓動のように、一拍ずつドクンと鳴ります。

窓の外から差し込む光は、まるで音に合わせて光っているようです。

心が陰るように、アナログシンセサイザーのザー・・・というノイズが響き、青や赤のネオンの光りが差し込みます。

アルバム『POP VIRUS』のジャケットになっている心臓の花が咲いた植木鉢は突如割られ、不穏さが増します。

サビから始まっているこの曲ですが、王道のJ-POPらしく派手に盛り上がるサビではありません。

ゆったりと落ち着いたテンポなのに心はざわつき、静かに体が揺れます。

そして、乗客たちは自由にバスケットボールのパスをしたり、友人とおしゃべりをしたり。

それぞれ自然に過ごしている動きが少しずつ音に重なり、やがて一つの大きなグルーブへと変わる。

気付けば、車内のみんなは好き勝手に踊りまくっている。

小さな音から、徐々に音楽というVirus(ウイルス)が感染していく様を見せられます。

不穏だと思った車内は、いつしか幸せな空間へと変わっていました。

このMVは、たったの3分程度。

その間に、ショートドラマが繰り広げられます。

そして、MVのラストは、実際は静かな車内で誰も踊ったりしていない。

ただ、普通に乗車しているだけという妄想オチでした。

星野源的ニューヨークと、フラッシュモブ

星野源さんは、ニューヨークへの強い憧れがあります。

過去に、次の新曲は『ニューヨーク』です。と、うそぶいていたこともありました。

前アルバムの『YELLOW DANCER』のブックレットには、ニューヨーク旅行(妄想)の話をしていたこともありました。

手元にある方は、是非読み返してください。

ニューヨークの地下鉄、落書き、フラッシュモブなどの共通点が見つかります。

その妄想の世界が、『Pop Virus』のMVだと思います。

そして、日本人的フラッシュモブというと、偏見かもしれませんがサプライズプロポーズなどのイメージがあります。

あざといと言いますか・・、事前に段取りをキッチリして、振り付けを準備して、一生懸命みんなで練習して、みたいに必死な感じがします。

冷静なタイプの人間や、非リア充は所業に引いてしまうと思います。

それに比べ、海外のフラッシュモブは異なると感じます。

去年、星野源さんが好きだと言っていたユーチューバーに、トドリック・ホールさんという方がいます。

フラッシュ・モブの動画があり、好きで見ているとのことでした。

例えば、マクドナルドで友人と注文しに行き、注文ついでに歌って踊っちゃうのが楽しい動画など。

見て頂ければ、わかるかと思います。

歌うと言っても、元は注文するだけの言葉。

踊ると言っても、自然と音の波に乗って体が揺れるということ。

一人でも素晴らしい歌唱力なので楽しめるとは思いますが、友人の体も自然に動かし、共に歌い、ただ働いているだけの店員さんを笑顔にする。

こうゆう日常の中に音楽が生まれ、感染していくことが、フラッシュモブの醍醐味なのだと感じます。

この注文シリーズは、回を追うごとにトドリックさんの音楽とエンタメに感染された仲間が増えていきます。

星野源さんがイメージするフラッシュモブは、こういう日常の中にある音楽の感染。

しかし、トドリックさんの動画のように始めからハッピーな様子ではない、星野源『Pop Virus』のMV。

『POP VIRUS』のコンセプトには陰のイメージもあることから、不穏な要素も盛り込まれているのではないでしょうか。

星野源が影響を受けたミュージカル

アメリカ的フラッシュモブと、ミュージカルにも共通点があると思います。

日常×音楽×ダンスという点では同じです。

異なることは、フラッシュモブは実生活の街中に存在する1コマ。

ミュージカルは映画などの架空世界で演じられること。

日本では、近年でしたら映画『ラ・ラ・ランド』や『グレイテスト・ショーマン』が流行り、ファンが増えたとは思います。

王道では、ディスニー映画もそうですね。

しかし、昔にもミュージカルの名作映画は存在しました。

星野源さんも好きだと公言している、映画『ブルース・ブラザース』(1980年)です。

本作品には世界的アーティストが大勢出演されていて、豪華なキャスティングでした。

前述のミュージカルと印象が異なる点は、主人公兄弟は悪さばかりしてきた裏社会の人間だということ。

二人とも黒スーツで、サングラス着用。何も知らない人は、ジャケットを見ればマフィアの怖い話だと勘違いするかもしれません。

ミュージカルは、キラキラしたドラマチックストーリーに使用するという固定概念が打ち砕かれる映画です。

元々がクズな兄弟ですが、最低な状況でも歌うし、踊るし、とてつもなくカッコイイのである。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンUSJ)でもショーがあったのですが、残念ながら2009年12月31日に終了してしまいました。

見たことがない方には、是非一度見て頂きたい名作です。

Amazonprimevideo

心に、生きることに、花を咲かせよう。

口から音が出る病気 心臓から花が咲くように

星野源『Pop Virus』作詞・作曲/星野源 より引用

歌うということは、心臓が脈うち生きることに花を咲かせるようだ。と、言っている気がしました。

病気というのは、人に感染していくウイルスのようだという意味で使っているのでしょう。

感染した者も、歌ってしまう病気になります。

MVのフラッシュモブのようにです。

そうすることで、みんなは心に、生きることに花を咲かせていけるのでしょう。

だからこそ、今日も星野源は歌を届けてくれるのだと思います。

最後に、こちらが撮影に参加された外国人の方たちとの記念撮影です。
とても楽しそうな雰囲気が伝わってきますね。


※これは、あくまで私個人の見解です。
 今後発売される雑誌の本人インタビューや、ラジオ放送などで解釈の間違いが判明する可能性があります。ご了承ください。